伊豆市所蔵美術品デジタルミュージアム
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春風駘蕩 [しゅんぷうたいとう]

員数:
1幅
制作年:
明治40年代
材質:
軸・絹・着色
サイズ:
126.7cm × 71.2cm

 「飲中八仙歌」に取材した作品と思われる。「飲中八仙歌」とは杜甫が、李白はじめ唐代の酒豪の雅人」8人を詩にうたったもの。画中の、酒に酔って馬の背に揺られて行く人物は、詩の中で「知章が馬に騎るは船に乗るに似たり。眼花井に落ちて水底に眠る」とうたわれた詩人の賀知章であろう。飲中八仙歌に取材した作品には、池大雅の「飲中八仙図屏風」などがあり、いずれも賀知章は両側を歩く人に支えられながら、騎乗で市中をゆく姿に描かれている。林響は場所を市中ではなく郊外に、賀知章を支える人物も騎乗の姿にかえている。背景の樹木には没線描法が用いられ、陰影表現によって馬に立体感を与えている。雅邦門下ではあったが、漢画以外の様々な技法を取り入れる林響の姿勢がうかがわれる。落款の書体から明治40年代初頭の作品と考えられる。また、本図の題名は林響の創作と思われる。林響は明治33年頃国学院大学夜間部で学んでおり、漢語の題名は、そうした林響の素養によるものであろう。

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